デセプション・ポイント

デセプション・ポイント 上

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「デセプション・ポイント-上-」ダン・ブラウン(2005)☆☆☆★★
※[933]、海外、小説、現代、エンターティメント、ミステリー、サスペンス、NASA、政治抗争、ホワイトハウス

だから、上下巻が連続している作品は上巻だけでは判断できないんだって。早く下巻読めよ>ヲレ(苦笑)
ま、読書記録も兼ねてるので。

ベスト・セラー「ダ・ヴィンチコード」を書いたダン・ブラウンの作品。これは、まったく新たな作品。NASAの世紀の発見と、ホワイトハウスでの大統領選を巡る政治抗争を描いたサスペンス。いい意味で、悪い意味でハリウッド映画的なエンターティメント作品。いや、たしかにテンポもよく、おもしろいんだけどね。

主人公で国家偵察局局員であるレイチェル・セクストンが親子の交流を断っている父親は、今は亡き最愛の母親を悲しませた身勝手な男。彼は、現在上院議員であり現職の大統領の対立候補である。そんなレイチェルに、ある日突然、大統領直々に密命が下った。その内容は、現地につくまで知らされない。戦闘機に同乗させられたどり着いた先は、予想もしない北極の氷の上。そこで明かされるNASAの世紀の発見。レイチェルの使命は、この発見の内容を確認し、ホワイトハウススタッフに説明すること。ところがこの発見には、大統領選にまつわるを陰謀が仕組まれていたのだ。
海洋学者マイケル・トーランド、宇宙物理学者コーキー・マーリンソンらともに事件に巻き込まれるレイチェル。三人は北極の海に放り出される羽目に遭う。早く大統領に真実を伝えなければ・・。

たぶん。おもしろい作品なんだけど、個人的に今求めている作品でないのが、評価につらいところ。
魅力的な主人公、ちょっとラブロマンスを感じさせる男性、そのパートナーでユニークな脇役というステレオタイプな登場人物パターン。どんでん返しの連続。エンターテイメント。娯楽作品。ひたすら楽しむために読む本という感じかな。

....to be continued

「デセプション・ポイント-下-」ダン・ブラウン(2005)☆☆☆★★
※[933]、海外、小説、現代、エンターティメント、ミステリー、サスペンス、NASA、政治抗争、ホワイトハウス

おもしろいんだろうな、と思う。頭では理解できる面白さなのだが、心が受け付けない。
アメリカの映画、小説における一種のパターン(類型)であるホワイトハウスを巡る陰謀もの。どんでん返しの連続。とにかく楽しみたいとき、エンターティメントを読みたいときおすすめの物語。つまり、そういう作品。実は「ダ・ヴィンチコード」を読んだときも感じたのだが、きちんと裏打ちのある作品で、おそらく丁寧な取材に基ずくのだろうが、そこに作家の語りたいものを感じ取れない。ただ楽しませようという、それだけの作品。

上巻に続き、陰謀に巻き込まれたレイチェル、トーランド、コーキーはNASAの発見の真相を究明するため、トーランドの海洋探査船ゴヤ号に向かう。ゴヤ号で判明したことは、NASAの発見に対し重大な事実であった。一方、レイチェルたちの命を狙う特殊部隊もゴヤ号へ向かう。そして、死闘がはじまった。最後に勝つのはだれか、手に汗を握る攻防・・。
物語は、大統領の座を狙うレイチェルの父親、セジウック・セクストンの陰謀とNASAの発見をめぐる陰謀が絡み、進む。

残念なのは、NASAの技術による宇宙の生命発見という「男の子の物語」が、ただの政治抗争である「大人の物語」に終始してしまったこと。大人だから、ラブロマンスもちゃんとあるしね。大きな権力に絡む陰謀という、このパターンも決してキライではないのだが、読み手である僕個人が、今欲している作品ではなかった。人も簡単に死にすぎるしね。
評価は客観的に、可もなく不可もなく☆3つ。個人的には☆2つかもしれない。

蛇足:というわけで、次に読むのは再読「せちやん」川端裕人。正真正銘の「男の子の物語」。NASAのSETI計画(地球外知的生命探査計画)を主題に、せちやんという大人になりきれなかった人物との出会いを通じ、成長する少年の物語。最後の静謐感に涙する・・はず。ちょっと記憶あいまい(苦笑)。