原宿団地物語

原宿団地物語

原宿団地物語

「原宿団地物語」ヒキタクニオ(2005)☆☆☆★★
※[913]、国内、現代、小説、短編連作、原宿

高度経済成長の時代に建てられた、東京原宿キラー通り沿いにある築40年の建物、実在の原宿団地を舞台にした連作短編集。下町生まれで、アメリカで青年期を過ごし、四十半ばで日本に戻って来て以来、団地に住んでいる小曾根さんを中心に語られる。原宿というお洒落な街の裏手には、昔ながらの日本の下町、人情の世界があった。

表題作「原宿団地物語」をはじめ、「汚し屋」「ボールゲーム」「スイス式」「原宿シロー」「夢騒がし」「天狗」「チョコレート・ペーストの日々」の八編からなる。

可もなく、不可もなく・・。良い点数でもなければ、]悪い点数でもない。ある意味、記憶にも残らない程度に読める作品。原宿団地という、実在の、ちょっとノスタルジィを感じさせる建物を舞台にしたほかには、これといった特徴もない。うまくないわけではないが、力いっぱいという感じでもない。適度に力を抜いて書かれた作品という印象が強い。ヒキタクニオを期待すると拍子抜け。ヒキタクニオでなくてもよい作品。勿論、褒め言葉ではない。
もっと、こう、何かを感じさせてほしい。それが、ヒキタクニオでなくてもだ。

白湯のよう、ほんのり温かく、さらりとしている・・。

蛇足:帯に、「長編感動ロマンと」あるが、そりゃあ無理だろう。「原宿の下町人情浪漫」あたりでどうだろうか。