LOVE

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「LOVE」古川日出男(2005)☆☆☆☆★
※[913]、国内、現代、小説、文芸、群像、二人称、港区、品川区、目黒区


東京の片隅。目黒区、品川区、港区を舞台にした、人々の群像譚。”後記”で作家は語る”巨大な短編だ。四七〇枚の、でも全体でひとつのショート・ストーリー”。いや、作品に従うならショート・ストーリーズ。
図書館に購入希望を出して4ケ月。待望の、そして満足の作品。これは購入してもよいなぁと、またもや古川日出男の文章、文体、リズム、そして物語にヤラれた。個人的には、とても満足、オススメ。本作品は「ベルカ、吠えないのか?」に対する猫的アンサー、と巻末の著者紹介にあるが、そうか?猫はひとつのモチーフであり、これはあくまでも人々と街の物語。”古川日出男”の「ベルカ、吠えないのか?」とはまったく違った、単独の別の作品として読むべし。でも「”古川日出男”の」は大事。つまり、「古川日出男の小説」というジャンル。


古川日出男の作品であるがあまり評価できなかった「ロックンロール七部作」を先に読んでいたせいか、はたまた、この作品の純粋の力なのか、客観的に分析、判断できないのだが、この作品「LOVE」は良い。好きだ。語り手がが、きみを語る二人称の文体。ほら、ぼくの文章も影響を受ける。短く、そしてリズム。タタン。もはや客観ではない、主観。そして流される。つまり、そういう小説。簡単にいってしまえば「大好き」。
たまにはそういう感想を、短く、だけでもいいかな(笑)。


蛇足:”後記”で語る書く人物の後日譚は、この作品には不要。まさに蛇足に感じた。
蛇足2:ぼくがかって評した古川日出男の作品(参考)
サウンドトラック」 http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/1889871.html
ボディ・アンド・ソウルhttp://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/5998204.html
「ベルカ、吠えないのか?」http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/6951657.html
「ロックンロール七部作」http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/20784704.html